
1.はじめに
寒さが少しずつ和らぎ、春の気配を感じるころ、道端やあぜ道、原っぱには早春の植物が顔を出し始めます。
冬枯れの景色の中に、そっと芽吹く草花は、春の訪れを知らせてくれます。
今回は、私たちの身近な場所で見られる早春の植物を10種類紹介します。
名前を知り、特徴を覚えれば、散歩や野外活動がもっと楽しくなるかもしれません。足元に広がる小さな春の息吹をのぞいてみましょう。
2.身近な早春の植物たち
①フキ

【キク科 フキ属 学名:Petasites japonicus】
・本州~九州まで分布する多年草
・沢沿いの荒れ地や崩壊地といった不安定な場所にいち早く根付くパイオニア植物
・香り高い春の山菜「ふきのとう」として知られる
・雄と雌の株がある雌雄異株
②ナズナ

【アブラナ科 ナズナ属 学名:Capsella bursa-pastoris】
・日本全土の水田や畑でよく見られる
・前年の秋に芽生え、春に花を咲かせて実をつける越年草
・「ぺんぺんぐさ」ともよばれ、振り鳴らして遊ぶ
・春の七草のひとつ
③ホトケノザ

【シソ科 オドリコソウ属 学名:Lamium amplexicaule】
・本州~沖縄に分布する越年草
・紅紫色の花が葉の上にすくっと立ち上がるの特徴
・半円型の葉が茎を取り囲むようにつく姿が仏像の蓮華座に似ているため名付けられた
④タチツボスミレ

【スミレ科 スミレ属 学名:Viola grypoceras var. grypoceras】
・日本全土に分布し、最も普通に見られるスミレのひとつ
・人里~深山までの日当たりのよい所から半陰地まで広く生育する多年草
・地下茎があり、ハート形の葉と櫛の葉のように切れ込む托葉がこの仲間の特徴
・花は3~6月頃まで楽しむことができる
⑤ミドリハコベ

【ナデシコ科 ハコベ属 学名:Stellaria neglecta】
・日本全土に分布する越年草
・農村の安定した草地でよく見られる
・コハコベに似るが、本種の方が種子の突起が鋭いのが特徴
・春の七草の1つ
⑥ヤハズエンドウ

【マメ科 ソラマメ属 学名:Vicia sativa subsp. nigra】
・本州~九州に分布する1~越年草
・紅紫色の花が葉の付け根に付くのが特徴
・豆果は熟すと黒くなり、カラスノエンドウの名として知られる
⑦コオニタビラコ

【キク科 ヤブタビラコ属 学名:Lapsanastrum apogonoides】
・本州~九州に分布する越年草
・田おこし前の水田など日当たりのよい湿ったところに花を咲かせる
・果実には綿毛がつかず、先に鍵状の突起があることが特徴
・春の七草「ホトケノザ」とは本種のこと
⑧スズメノヤリ

【イグサ科 スズメノヤリ属 学名:Luzula capitata】
・日本全土に分布する多年草
・人里や山地の日当たりよい草地に多い
・褐色の頭花が大名行列の毛槍に似ており、本種自体が小型であることを「すずめ」としたことが名前の由来
・雌しべが先に成熟し、雄しべを遅く成熟させることで自家受粉を防ぐ雌性先熟
⑨ヨモギ

【キク科 ヨモギ属 学名:Artemisia indica var. maximowiczii】
・本州~九州に分布する多年草
・草餅、ヨモギ湯として古くから親しまれている
・ヨモギ属は日本に30種ほどあるが低地で普通に見られるのは本種
⑩スギナ

【トクサ科 トクサ属 学名:Equisetum arvense】
・北海道~九州に分布し、日当たりのよい酸性土壌を好む
・早春にでる胞子茎を「ツクシ」と呼び、その後に出る栄養茎が「スギナ」と呼び分ける
・「ツクシ」や「スギナ」は食用になる
3.おわりに
いかがでしたか?
早春の植物は、冬の寒さに耐えながら春の訪れとともに芽吹き、私たちの身近な景色に彩りを添えてくれます。
道端やあぜ道、原っぱで見られる草花の名前や特徴を知ることで、何気ない風景がより魅力的に感じられるかもしれません。
身近な自然の変化を感じながら、春の訪れを楽しみましょう。
ぜひ参考にしてみてください。