~葉の形を知ろう~ 葉の仕組みを基本から学ぶ

はじめに

葉は植物が生きるために欠かせない重要な器官です。

葉の仕組みを知ると、葉の形だけで植物の種類が分かることもあります。

「植物についてもっと知りたいけど何から調べたらいいかよくわからない・・・」

「何となく、植物の葉って形が違うのはわかるけど、どう違うかは知らないな・・・」

そのような方のために、植物を深く知っていくためのポイントを解説します。

今回は葉の形を知る上で重要な葉の構造や機能について紹介します。

最後に確認クイズもあるのでぜひ挑戦してみてください♪

葉の形

まずは、葉を構成する各部位を紹介します。

植物の葉は基本的に、①葉身(ようしん)、②葉柄(ようへい)、③托葉(たくよう)の3つの器官から成り立ちます。

①葉身(ようしん)
:平らに広がった葉の部分全体。  

②葉柄(ようへい)
:葉身と茎の間を繋ぐ小さな柄状の部分。長さは様々で、ない場合もある。

③托葉(たくよう)
:葉の付け根の付属体。大きさや形は様々で、元々托葉がない場合や、早く落ちてしまう場合もある。

その他

節間(せっかん)
:葉が茎に付着する部分を節(ふし、又はせつ)といい、節間は葉と葉の間にある茎や枝の部分

葉脈(ようみゃく)
:葉身にある、葉のすじ。中に維管束が走る。

葉の断面構造

次に、葉の断面構造の仕組みをご紹介します。中学校の理科や高校の生物でも習うので、懐かしいと思う方もいるのではないでしょうか。

葉の断面には①表皮組織系、②基本組織系、③維管束組織系という3つの重要な組織系があります。
※組織系:いくつかの組織が集まって働きをなす部分

①表皮組織系(ひょうひそしきけい)
:表皮に位置し、密に集まった表皮細胞からなる。表皮と表皮の間にある孔辺細胞には気孔がある。

表皮組織系はほとんど葉緑体を持たない。但し、孔辺細胞には多い。

②維管束組織系(いかんそくそしきけい)
:主に木部と師部から構成する物質の通路。

 ②-1 木部(もくぶ)
 :根から吸収された水の通路。
 ②-2 師部(しぶ) 
 :光合成でつくられた有機物の通路。

③基本組織系(きほんそしきけい)
:①、②以外の組織からなる。

 ③-1 柵状組織(さくじょうそしき)  
 :葉の表側の組織。細長い細胞が密集している。葉緑体を多く含み、光合成は主にここで行われる。

 ③-2 海綿状組織(かいめんじょうそしき)
 :葉の裏側の組織。細胞間のすき間が多い。葉緑体も含む。

その他
気孔(きこう)
:表皮にある2つの半月型の孔辺細胞(こうへんさいぼう)のすき間のことをいう。
葉の裏側に多く、葉の蒸散に関わる。

クチクラ層
:表皮の外側にあるロウ質でできた層。
葉を保護したり、葉の表面からの蒸発を防いだりする。
海岸沿いの常緑樹によく発達する。

葉の機能

一般的に、葉の形は光を受けやすいように、扁平な形になっています。


これは、葉の最も重要な働きである「光合成」を効率的に行うためだと考えられます。


「光合成」は、葉の葉緑体にある葉緑素が吸収した太陽の光エネルギーを使って、無機物である水と二酸化炭素を原料に、有機物を作り出す過程のことです。

葉緑体は、動物にはなく植物のみに見られる構造体であり、植物だけが持つ「光合成」の働きによって、あらゆる生物を支えています。

その他

蒸散(じょうさん)
:植物体内の水が,葉の気孔から水蒸気となって空気中に出ていく現象。
蒸散によって,植物体の水の移動が促され,養分の移動にも役立つ。
また水分を蒸発させる際に必要な熱(気化熱)によって周囲の熱が奪われるので,葉の周りの温度は下がる。

排水(はいすい)
:排水組織をもつ植物では、特に夜から早朝にかけての蒸散が活発ではない時に、葉のふちにある水孔から水を排出する。溢液(いつえき)と呼ばれる。例)サトイモ科

葉の多様性と適応

葉の多様性と進化には、植物の生存戦略や環境への適応に関連するさまざまな要因が影響します。

植物の葉の形状や構造は、長い年月をかけて生育する環境による自然淘汰(適応進化)や偶然(中立進化)の結果により進化してきました。

植物は適応進化の過程では、サボテンのような多肉質の葉や、水草のように水中で生育する葉など、特殊な形態が生じることがあります。

また、植物は季節の変化に伴う気温や光量の変化に応じて、葉の構造や機能による調整をします。

例えば、冬季には光合成が制限されるため、落葉植物は葉を落として冬眠状態に入ります。これにより、葉からの水分蒸散を抑え、水分ストレスを軽減し、生存率を高めることができると考えられます。

葉の形態や機能は、進化の過程で多様化し、その結果としてさまざまな環境に適応した植物が存在しています。

覚えたい人のための確認クイズ!!

①植物の葉は基本的に3つの器官から成り立ちます。葉身、托葉と、あと1つは何でしょう?

 

②葉身にある葉のすじのことを何というでしょう?

 

③葉の断面には、3つの重要な組織系があります表皮組織系、基本組織系と、あと1つはなんでしょう?

 

まとめ

いかがでしたか?

今回は葉の形の違いを、の構造や機能に注目して紹介しました。

これからもっと植物を覚えていきたい方はぜひ参考にしてみてください。

参考文献・HP
岩瀬徹・大野啓一(2004)『写真でみる 植物用語』 全国農村教育協会

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