
1.はじめに
冬のインテリアやクリスマスの装飾に欠かせない「松ぼっくり」。
その独特な形と自然素材の魅力で、リースやオーナメント作りの定番アイテムです。

しかし、松ぼっくりに似た形状の植物は、他にもさまざまあります。
身近な自然の中で見つかるこれらの植物を使えば、いつもとはひと味違うオリジナルのグッズ作りが楽しめます。
今回は、松ぼっくりのような球状の実がなる植物たちのそれぞれの魅力や使い方のアイデアを紹介します。
2.松ぼっくりに似た植物たちとは?
松ぼっくりといえば、針葉樹のマツ科に見られる「球果(きゅうか)」と呼ばれる実です。
「アカマツ」や「クロマツ」といったマツの木がその代表ですが、同じマツ科の中でも形や質感に似た植物は他にもあります。
また、「球果」は、マツ科以外の針葉樹にも見られ、種子を包み込む独特の形状をしています。
一方、広葉樹のカバノキ科の「果穂(かすい)」も松ぼっくりのような魅力を持っています。
果穂は、種子のついた果苞(葉が変形したもの)が房状に集まったものです。

この記事では、松ぼっくりも含めた球果をもつ針葉樹と、カバノキ科の「果穂」をもつ広葉樹を全7種類紹介していきます!
3.松ぼっくりに似た植物たちの種類や特徴
①アカマツ
【マツ科 マツ属 学名:Pinus densiflora】

・針葉樹、常緑樹、25メートルほどに成長
・尾根筋や岩山などに生える
・花が咲いて翌年の秋に長さ4~5㎝の松ぼっくりができる
・庭木や建築材によく使われる
・類似種のクロマツも同様に松ぼっくりができる
②カラマツ
【マツ科 カラマツ属 学名:Larix kaempferi】

・針葉樹、落葉樹、20mほどに成長
・主に中部地方の山地に生える
・松ぼっくりは長さ2~3.5㎝ほどで、花が咲いた年の秋にできる
・家具に使われる
③ツガ
【マツ科 ツガ属 学名:Tsuga sieboldii】

・針葉樹、常緑樹、20mほどに成長
・丘陵~山地の尾根ややせ地に生える
・福島県以南~鹿児島県まで分布
・建築材として利用
・秋に長さ2~3㎝の松ぼっくりができる
・類似種のコメツガも同様にツガより小ぶりな1.5~2.5㎝の松ぼっくりができる
④スギ
【ヒノキ科 スギ属 学名:Cryptomeria japonica】

・針葉樹、常緑樹、大きいものは50mまで成長
・山地の沢沿いに多いが、岩上や湿原にも生える
・本州~九州に分布
・実は直径2㎝ほどで、10~11月頃に熟す
・全国的に植林されている
⑤ヒノキ
【ヒノキ科 ヒノキ属 学名:Chamaecyparis obtusa 】

・針葉樹、常緑樹、30mほどに成長
・山地に生える
・福島県~鹿児島県に分布
・実は直径1㎝ほどで、花が咲いた年の10~11月に熟す
・日本で最も評価の高い材
・類似種のサワラも7㎜ほどの実を秋につける
⑥ハンノキ
【カバノキ科 ハンノキ属 学名:Alnus japonica】

・広葉樹、落葉樹、10~20mに成長
・低湿地や湿原に生える
・北海道~沖縄まで分布
・果穂は1.5㎝~2㎝ほどで、10月に熟す
・同じハンノキ属やカバノキ属にも似た果穂が秋にできる
⑦クマシデ
【カバノキ科 クマシデ属 学名:Carpinus japonica 】

・広葉樹、落葉樹、15mほどに成長
・日当たりのよい丘陵や山地の谷筋に生える
・本州~九州に分布
・果穂は5~10㎝で10月頃茶色く熟す
・スワッグに使われることもあるが、バラバラになりやすいので注意が必要
4.その他
・野外でクラフトなどに実を使用したい場合は、採取が可能な場所か確認しましょう。
・クリスマスツリーで使われる「モミ」は、松ぼっくりがバラバラになりやすく、クラフトには向きません。
5.おわりに
いかがでしたか?
松ぼっくりに似た植物たちは、手作りリースやクリスマスオーナメントに個性と温かみを加える素敵な素材です。
また、これらの植物は異なる樹種や地域で見つかるため、集める楽しさも格別です。
それぞれの形や色合いを生かせば、自然の魅力を取り入れたオリジナリティあふれるグッズを作ることができます。
クリスマスには、自然素材を活用してオリジナルの飾りを楽しんでみませんか?
ぜひ参考にしてみてください。
参考文献・HP
・茂木透・石井英美・崎尾均・吉山寛・太田和夫・勝山輝男・高橋秀男・城川四郎・中川重年(2000) 『山溪ハンディ図鑑3~5 樹に咲く花①~③』山と溪谷社