
1.はじめに
冷たい冬の空気の中、ふと足元に目をやると、力強く生きる植物の姿が見えてきます。
これらの植物の中には、古くから私たちの暮らしに深く結びつき、健康を支えてきたものがあります。

その1つが、1月7日に食べる「七草粥」に用いられる春の七草です。
七草には、一年の無病息災を願う想いが込められ、それぞれ特別な意味や体にうれしい働きがあります。
独特の香りや栄養で冬の体を優しく整えてくれる七草たち。
今回は、七草粥の主役ともいえる七つの植物の魅力や由来を紹介します。
2.七草粥の由来
七草粥は、中国の古い風習が深く関わっています。
中国では、旧暦の1月7日に「人日(じんじつ)」という節句があり、七種の野菜や薬草のスープを食べることで、無病息災や長寿を願いました。

日本では、平安時代にこの中国の行事が伝わり、日本の若菜摘みの風習とともに次第に1月7日に食べる「七草」の文化が定着したそうです。
日本では、春の七草を使った「七草粥」としてアレンジされ、冬の寒さで弱った体を整え、春を迎える準備をする意味が込められました。
また、七草はそれぞれに健康や厄除けの意味があり、食べることで一年の無病息災を祈る大切な行事となりました。
3.七草粥に使う植物たち
①セリ(芹)
【セリ科 学名:Oenanthe javanica】

・水辺に生える香り高い野草で、新芽が次々に生え出る様子が「競り勝つ」に通じることから、勝負運や活力を象徴する
・ビタミンや鉄分が豊富で胃を丈夫にする効果や解熱効果、利尿作用、整腸作用などの効果があるといわれる
②ナズナ(薺)
【アブラナ科 学名:Capsella bursa-pastoris】

・道ばたや畑などに生え、ぺんぺん草ともよばれる
・「撫でて汚れを取り除く」といわれ、邪気を払う
・ビタミンや鉄分が豊富で消化促進、止血作用、貧血予防などの効果があるといわれる
③ゴギョウ(御形)
【正式名:ハハコグサ キク科 学名:Pseudognaphalium affine】

・道端や畑などに普通に生える
・「御形(ごぎょう)」に、仏の体という意味合いが込められ、仏の加護や平穏を表す
・鉄分を含み、風邪予防や解熱効果、のどの痛みに効果があるといわれる
④ハコベラ(繁縷)
【正式名:ミドリハコベ ナデシコ科 学名:Stellaria neglecta】

・道端、山野などに生える
・「繁栄がはびこる」を意味し、家族の繁栄を表す
・ビタミンとミネラルが豊富で、胃炎など効果があるといわれる
⑤ホトケノザ(仏の座)
【正式名:コオニタビラコ キク科 学名:Lapsanastrum apogonoides 】

・水田に多く生える
・食物繊維やビタミン豊富で、葉の中心から伸びた茎に黄色い花を付けた様子を仏に見立て、「安座して平穏無事」を願う
・胃の健康を促し、食欲増進などの効果があるといわれる
⑥スズナ(菘)
【カブ】

・「神を呼ぶ鈴」に通じる名前から、神聖さや厄除けを表す
・ビタミンやミネラルを豊富に含み、消化促進や美肌効果があるといわれる
⑦スズシロ(蘿蔔)
【ダイコン 】

・「汚れのない清白」という意味合いが込められ、心身を清める
・ビタミンやミネラルを豊富に含み、消化促進や殺菌作用があるといわれる
4.おわりに
いかがでしたか?
七草粥は、無病息災を願いながら自然の恵みを楽しむ日本の伝統行事です。
七草を食べることで心身をリセットし、健康を祈る大切な時間を過ごしませんか。
ぜひ参考にしてみてください。
参考文献・HP
・さとうひろみ(2013)『大切にしたい、にっぽんの暮らし』サンクチュアリ出版
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